醤油の評価方法

醤油の品質は「色」「香」「味」で評価されます。高い醸造技術・醸造管理・衛生管理・保存管理があわさって高品質の醤油が作られていきます。

 

<醤油の色>

醤油の「色」は熟成の期間や温度経過によって異なり、無色に近い淡褐色から、黒に近い暗赤褐色まであります。
醤油はアミノ酸と糖に富むため、酸化や加熱、成分の揮発のほか、メイラード反応が進むことで産生されるメラノイジンにより色は濃くなっていきます。
一般的には製造/管理的に高度な技術が必要になる、淡色で赤い色調のものが良い醤油とされていますが、地方性により、特に濃口醤油においては色が濃い方が好まれる場合もあるようです。

 

<醤油の香り>

醤油の「香」には、鼻で匂いをかぐときに感じる「トップノート」と、口に含んでから感じる「フレーバー」があります。
香気成分の多くはアルコールをはじめとする酵母の発酵生産物で、メイラード反応から、ストレッカー分解を経て産出される有機化合物、加熱工程にて産生される焦げ香も、醤油を特徴付ける重要な要素になります。
醤油は長期保存によって酸化が進んでいき、「劣化臭」といわれる臭いがつくこともあります。
そして、製造工程における衛生管理の問題があると、バクテリアによる腐敗臭や、味噌のような臭いがつくこともあります。

 

<醤油の味>

醤油は言わずもがな、塩辛さ、うまみ、甘みを強く持っています。
塩辛さの元は原料の塩から、うまみの元は主にアミノ酸、甘みの元は糖によって引き起こされます。
アミノ酸は、麹により産生されたプロテアーゼやアミラーゼ等の酵素によって大豆由来のタンパク質が分解されたもので、糖は同じく小麦由来のデンプンが分解されたものになります。

 

<醤油の官能評価>

「きき味」により、主に色・香・味が評価されます。
「色は淡色で赤みがある色調で、かつ香り高く、味が良い」醤油が良質とされています。(上記にもありますが、地域によって差はあります。)

花のような甘い香りや爽やかに鼻に抜ける香が一般的に良い香りとされますが、製品によっては生乾きの雑巾のような臭い、汗のような臭いなど「悪い香」を呈するものもあります。
また、「麹の香」「味噌の香」「アルコールの臭」などの香りが加わっているものもあります。

「よい香」とされる香も強すぎると良くない為、それらのバランスにおいて製造者ごとに特徴が出ているのも醤油の魅力です。

 

<JASによる格付け>

JAS日本農林規格)では、醤油の品質基準に、含有する窒素分、無塩可溶性固形分(エキス分)、アルコールの量に従って格付けされています。
その中でもっとも重要とされるのが、「うま味」の指標となる全窒素分になります。

 

「標準」(濃口: 1.2%以上、淡口: 0.95%)
「上級」(濃口: 1.35%以上、淡口: 1.05%)
「特級」(濃口: 1.5%以上、淡口: 1.15%)

 

また、JASの他に日本醤油協会が定めている基準があります。

 

「特選」: 特級の10%増し(濃口: 1.65%、淡口: 1.265%)
「超特選」: 特級の20%増し(濃口: 1.8%、淡口: 1.38%)


また、醤油業中央公正取引協議会が定めるものとして、以下の表示を利用することができます。

 

上級醤油は「上選」、「吟醸」、「優選」、「優良」
特級醤油は「特吟」や「特製」
日本醤油協会で言うところの「超特選」(特級の1.2倍)の場合、「濃厚」